本記事では江戸時代を舞台に、見世物小屋で働く青年・壱と見世物として捕らえられた少年・べなの出会いを描く商業BL『べな』を紹介。切なくも優しい読後感が魅力の作品です。ネタバレ控えめでレビューしてますので購入の参考にどうぞ。
『べな』はどんな作品?
あらすじ
舞台は江戸時代。
幼い頃から見世物小屋で働く壱はある日、化け物として捕らえられた少年・べなと出会う。
壱は少年を親元に返すため脱走を試み…。
べなは人として生きることも、誰かに大切にされることも知りません。
そんな彼に対して壱は、同情だけではない複雑な感情を抱きながら関わっていきます。
重たい背景を持つ2人ですが、見世物小屋から離れて様々な経験や人と接しお互いを見つめ寄り添い合うことで小さな幸せを手繰り寄せる…切なくも心温まるお話。
作品の特徴
BLですが、ラブより先に“生き方の物語”が来る印象です。
作品の魅力・ポイント ※軽ネタバレ
幸せを噛みしめるような切なく優しい物語
『べな』の一番の魅力は、
ベナが少しずつ「人として扱われる」経験を重ねていく過程です。
名前を呼ばれること。
言葉を教えてもらうこと。
居場所があると知ること。
その一つ一つがとても静かで、でも胸に刺さります。
壱もまた完璧な救済者ではなく、優しさの中に迷いや弱さを抱えている人物として描かれているのが印象的です。
だからこそこの物語は「誰かを救う話」であると同時に、「不完全な人間同士が寄り添う話」として成立しています。
時代に沿った美しい作画
江戸時代が舞台なため登場人物の髪型は“ちょんまげ”なんですが、違和感を感じません。むしろ普通の髪型より美しさやかっこよさを感じる程です。また、線が丁寧なため攻めのべなは力強く逞しい目線、受けの壱は愁いを感じる美人な目線といった書き分けも素晴らしいです。他にも作中で浮世絵みたいなのがちょいちょい登場するシーンがあったりするのですが、上手く馴染んでおり、その完成度も高く感動しました。
人情味溢れる魅力的な登場人物
主人公2人を取り巻く周りの人たちもそれぞれに理由があったり、ストーリーがあったり、気付きをくれるようなメッセージをくれたり魅力が詰まっています。メインの2人だけではなく、魅力的な登場人物がいるからこそ浮世草子らしい人情味溢れる物語をより感じる事ができました。
注意すべきポイント
本作は差別や虐げられる描写を含むため、明るく軽いBLを求めている方にはやや重く感じられるかもしれません。
こんなひとにおすすめ
本作には派手さはありませんが、読んだ後に余韻が残るようなストーリー重視のBL作品を求めている方にぴったりなお話です。
👇気になった方は、ぜひDMMの試し読みから触れてみてください。
各巻の簡単な内容と軽い感想(※ネタバレ オンオフつき)
※以下は各巻の雰囲気や感情に触れる軽いネタバレを含みます。内容を知りたくない方はネタバレ感想については開かずにご利用ください。
1巻|物語の始まり・2人の出会い
簡単な内容
舞台は江戸時代。見世物小屋で働く「壱」はある日、バケモノとして捕らえられた少年「べな」と出会う。親元に返そうと二人で脱走する流れになるが…。
👇本作が自分に合うかどうかは、1巻を読むとほぼ分かります。
幼い頃から見世物小屋で双子の弟・二三と働いてきた壱が片割れを失い、灰色の様な生活を送っている序章に心が痛みました。そんななか傷だらけの鬼の子・べなに出会い心が動き成り行きとはいえ外の世界へ一歩踏み出す流れに。少年・べなは子供の頃に捨てられており、初めはろくに話せませんが表情豊かで見ていて楽しい子でした。特に美しく色気のある壱に惚れており、べながちょいちょい顔を赤らめるシーンや幼いながらに壱に興奮している様子が可愛くてキュンとしました。
2巻|距離が縮まる
簡単な内容
見世物小屋を抜け出し、穏やかな暮らしを手に入れた2人。しかし、べなは時折感じる鬼特有の荒々しい衝動に人との違いを意識するようになり、あることを思いつきます。
一方、江戸を出たいと言い出すべなに壱は不安を覚え…。
壱にそばにずっといたい、人間になりたいと願うべなの切実な思いと行動に前作からの成長を感じる作品でした。また、べなの行動に不安を感じる壱にもべなからの指摘に気づきを覚え、過去を乗り越えるようなお話があったのもとても良かったです。その過程で裏ストーリー的なサブの切ないBLもみることができ、一巻でひたすら嫌な奴だったキャラなのですが違った角度からみるとなんともいえない憎み切れない奴に変わりました。
少年から早熟な青年の見た目に変わったべなが壱に若々しく真っ直ぐな思いを伝える様子に光を感じて良かったです。
3巻|揺れる感情
簡単な内容
江戸の暮らしにもすっかり馴染んだ壱とべな。ある日、行きがかりに助けた医者・若水とその弟子・朝太郎に懇願され、浅草まで護衛を務めることに。おまけに朝太郎が壱に惚れた様子。それに気付いたべなは心が不安定になり、再び鬼の姿と化してしまい…。
らぶらぶな2人ですが、それぞれに思うことがあるようですれ違いにやきもきさせられました。とはいえ、べなが嫉妬する姿が露骨で可愛すぎました。また、鬼の姿の髪長いバージョンのべなの姿で壱とイチャイチャするシーンが異形×人間好きのため個人的に嬉しかったです。
4巻|関係の行方
簡単な内容
若水の情人「鬼平太」奪還のため、両国へと向かうべなたち。道すがら二三のお墓のある回向院に身を寄せ、ダンゾウと再会を果たす。壱にとって両国の見世物小屋は忌々しい記憶を呼び起こす場所。行けば辛い思いをするかもしれない、今なら違って見えるかもしれない、そんな思いを抱き確かめるために向かうが…。鬼と添い遂ぐボーイズラブの完結巻。
べなと壱が二三のお墓参りをするシーンでべなが二三に向かってお願いする姿がいじらしくて可愛かったです。また、普段はクールな壱がべなの前だけで見せる照れた顔も可愛くて癒されました。過去に向き合うため重く辛い場面もありましたが、2人の絆の強さが伺えてジーンときました。BL要素ならではのキュンとする場面もちゃんとありますが、それ以上に人が寄り添い繋がり、成長していく大きな流れを感じることができた素晴らしい作品でした。
まとめ|「人」を描くBL

『べな』は鬼×人間の人外BL作品でありながら、とても人らしい作品だなと感じました。同人漫画のような派手さはありませんが、人と人が支えあい、成長する大きな流れを感じる事ができる、心に残るお話でした。

感動できるBL漫画を探している方にはほんとにおすすめです!
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